介護スキルを客観的に判定する制度

介護施設で介護士として働きだし、ある程度の期間が過ぎると介護の仕事が経験として身についていきます。介護の現場では慢性的な人材不足が問題となっていますが、それは裏を返せば様々な仕事に携わることができ、より多くの経験を積み重ねることができるということにもなります。

しかし、地域で開催される研修会などに参加した際、実務で培ってきたはずの経験や見識がいかに狭いものであったのかを思い知らされたという介護士は少なくありません。介護施設で行われている介護サービスが、必ずしも全ての施設で通用するわけではないという思いに打ちのめされるといった体験は、研修に参加した介護士にはよくある話だと言えるでしょう。

サービスに施設の独自性が存在することは大変良いことです。しかし、それが世間の常識からかけ離れてしまっては、介護士に普遍的な介護スキルが身につかないといったリスクも考えられます。どのような施設においても通用するスキルでなければ人材の流動性も確保できないため、近年では介護士のスキルを客観的に評価・認定しようとする動きが展開されています。これは「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」と呼ばれるもので、介護士のスキルを7段階のレベルでカテゴライズし、客観的にどのようなことができるのかを明示するための制度です。このレベル認定を行い、更なるスキル育成のためのプログラムを考案するのが「アセッサー」と呼ばれる管理職の役割です。施設ごとの介護スキルの内容におけるギャップを埋める試みは、介護サービスの希求度に比例してその数を増やしていくと予想されています。